太陽系文明存続計画 project ESとは
外交官ユキが手掛ける「ES-エス-」と呼ばれる精神生命体文明が織り成す世界観を基にしたハードSci-Fiシリーズ。
高次元文明の価値観、社会体系を描き出すことで現実世界である太陽系文明に進化の礎を残すことを目的としている。


太陽系文明存続の重要性
広大な宇宙の大半は虚無の空間と生命のいない星々で構成されている。
そして、現在この宇宙では地球以外の文明は発見されていない。
太陽系文明は現状我々が観測しうる宇宙の中で最も貴重な存在である。何かの拍子に文明が滅ぶようなことがあれば、これまで宇宙が、我々生命が積み上げたものは霧散することになる。
太陽系文明は長く、永く発展していかなければならない。
例え地球が無くなっても。


太陽系文明存続におけるprojectESの役割
文明を維持するには十分な活動環境を確保する必要があり、現在はその役割を太陽系が担っている。恒星と惑星の距離、公転軌道、自転軸の角度、重力バランス、全てがあまりも絶妙な状態に保たれているおかげで地球という惑星が生命活動に適切な環境になっているのだ。
この状態は我々人類が余程のことをしない限りは長く続くが、永遠ではない事も確かである。
つまり我々には現在の太陽系の恩恵による活動環境から乗り換える時期が必ず来るということだ。
今はまだその現実を直視する時ではないが、訪れることは”確定事項”である。その確定事項を乗り越えなければ太陽系文明は必ず終焉を迎えるだろう。
我々生命には新たな活動領域が必要だ。

新たな活動領域と聞いて思い浮かべるのはいくつかあるだろう。恒星間航行播種船団、スペースコロニー、サーバー内の電子空間。
どの道に進んだとしても、そこに母なる地球はもちろん、恵の光をもたらす太陽も、優しく照らす月も存在しない。それまでの足元失った人類はどんな価値観を持てば良いのだろうか。地球がなければ国籍はどんな意義を持つのか、身体の改造あるいは電子生命となっときのジェンダーはどんな概念になるのか、存続のためには遺伝子操作やプラントから生まれる人類や動物も必要になるかも知れない。そうなったときの生命の倫理観とは。
それは、現状の我々には想像もつかないような概念、価値観に溢れた世界。しかし我々はいつかそこに向き合わなければならない。きっと人々は戸惑い、悩み、苦しむだろう。

その時に project ES は一つの道標となるかも知れない。
優れたSci-Fiは未来を規定する。
project ESで語られる「ES-エス-」という世界観は精神生命体文明として構成されてる。
精神生命体で身体を持たず、自分たちで宇宙とは別の時空間を構成して居住している。
つまり、基本的な生命活動において宇宙やそこに存在する物質によるリソースを必要としていない。

生命が母星から離れて活動を維持する上で最も問題となるのは資源である。宇宙に出ればまともな資源は少ない。
我々の生命活動はもちろん、船やコロニーのメンテナンスに必要なものは多い。仮に電子生命体になったとしても、電子空間を構成する”サーバーマシンは現実にハードウェアとして存在する”ためやはりメンテナンスは必要である。
宇宙における生命活動は資源の豊かな母星ありきなところが大きい。文明も母星の寿命と運命を共にしなければならない可能性は十分に考えられる。
そのためproject ESでは精神生命体文明という形態を提案している。宇宙という与えられた環境を抜け出し、自分たちで作り上げた自分たちの世界で生きる。それがESの基本思想である。
project ESではそうして自分たちの世界を築き、自由に生きる生命達の営みを創作というアウトプットで描いている。創作である以上、空想域ではあるものの、いつか太陽系文明が地球を離れる、宇宙から別の領域へシフトするという段階を迎えた時、価値観、倫理観、そして生き方を示唆できる一つの礎となる可能性がある。

新たな段階へシフトする時、必ず恐れや反発が生まれる。その時に例え空想だとしてもある程度の想像がつくものの存在の有無は生ける者たちの意思に大きく影響を与える。生命が恐れるものは知らないもの、分からないもの。であれば、今のうちから思考を積み上げて自分達の世界がどう変わっていくべきか、変わった後にどう生きるか、変わった後の世界で避けるべきリスクは何か。分かり始めていかなければならない。想像が故に全てが正解である必要はない。重要なのは考える拠り所がまず”存在する”ということである。
存在しさえすれば、皆で共有し、考え、改善することがでる。

Sci-Fiは文字通り空想の意。整合性のないことも多い。しかし、だからこそ現状では説明しきれない事でも疑似体験することができ、そこからヒントを得ることができる。
何千年、何万年、阿僧祇、那由他の先に続く未来のためにprojet ESは存在してる。